判断の方法
典拠あり・再構成・伝承
パウロをめぐる見解の相違の多くは、資料が述べていること、資料から推論されたこと、後代の教会が伝えたことを混同するところから生じます。
読者の問い
このサイトが何を、どの程度の確かさで主張しているのか、どう見分けられますか?
一貫して三つのラベルを使います。「典拠あり」は使徒言行録または手紙に書かれていることです。「再構成」は、それらの資料から年代、経路、状況を一つの順序として推論したことです。「伝承」は使徒言行録の物語外にある後代の証言で、パウロの死について知られていることのほぼすべてがここに含まれます。
区分を分けておく理由
ネロ治世下の殉教を、使徒言行録に名を挙げられた町と同じ調子で示すページは、伝承をひそかに事実へ格上げしています。三つすべてが同じ書体で書かれると、どれも同じように「パウロについて分かっていること」と感じられるため、陥りやすく、非常によく見られる混同です。
この区分は重要度の順位でもありません。ここで特に重大な主張の中にも再構成はあり、典拠のある細部の中にも些末なものはあります。ラベルが記録するのは、ある記述がどの種類の裏づけを持つかです。それがどれほど重要かとは別の問いです。
区分を保つことには代償もあります。物語をきれいに締めくくれず、パウロについてもっともよく知られた細部のいくつかが、三番目の区分に属すると分かるからです。しかし、区分を混ぜれば再構成を検証できなくなります。ある資料を取り除いたとき、どの部分がなお残るのかを読者が見分けられないためです。
各区分が実際に当てはまる範囲
「典拠あり」は、経路と出来事の大半、すなわち町々、旅の順序、逮捕、皇帝への上訴、航海を含みます。「再構成」は、年代のほぼすべて、名を挙げられた場所の間を結ぶ道、獄中書簡の背景となる投獄地を含みます。「伝承」は、最初のローマでの投獄からの釈放、牧会書簡が示唆する後年の旅、イスパニアへの旅、ネロ治世下の処刑を含みます。
使徒言行録そのものは、そのいずれも記さずに終わります。パウロが軟禁下にありながら宣教を阻まれないまま続けているところで筆を置き、判決も釈放も死も伝えません。その後の順序は、使徒言行録の物語の続きではなく、再構成と伝承に依存します。確度はそれらの後代資料から判断しなければなりません。
この区分が意味しないこと
「伝承」は「偽り」の同義語ではありません。生存者の記憶が残る時期にローマで書かれた『クレメンスの手紙一』はパウロの死に触れており、殉教の伝承は早期から存在し、大筋で一貫しています。「伝承」というラベルは証拠の種類を記すもので、実際に起きたかどうかの判定ではありません。
ガラテヤの信徒への手紙には、三つすべてが一度に現れます。パウロがガラテヤの諸教会に宛てて書いたことは「典拠あり」に当たります。紀元48~49年頃にシリアのアンティオキアから書いたとするのは再構成であり、ガラテヤを北方の民族的地域ではなく、ローマ帝国の属州南部と読むことに依存します。別の読みでは手紙の年代が50年代に移ります。ローマ市民であったパウロが、十字架刑ではなく斬首によって処刑されたというのは「伝承」です。
同様に、「再構成」は「当て推量」の同義語ではありません。再構成には十分な根拠があっても、なお再構成です。このラベルにより、読者はどの主張が本文に基づき、どの主張が本文についての論証に基づくかを見分けられます。
よくある質問
「伝承」とは「偽り」の言い換えですか?
いいえ。伝承とは、使徒言行録と手紙の物語の外にある後代の証言を意味し、それは十分に真実であり得ます。ネロ治世下でのパウロの処刑は、早くから広く受け入れられてきた伝承です。このラベルが記録するのは、主張を支える証拠の種類であって、主張そのものへの判定ではありません。
聖書そのものだけでは、パウロの生涯を年代づけられないのはなぜですか?
本文が物語るのは順序であって、年はほとんど記さないからです。その後コリントへ行った、という記述を紀元50年という日付へ変えるには、外部の基準点と期間の計算が必要であり、その作業は誰が行おうと再構成です。ラベルは、本文の示す順序と、そこから推定した日付を区別します。
主張が区分の間を移ることはありますか?
あります。碑文、パピルス、より有力な遺跡の比定といった新しい証拠は、再構成を固めることも揺るがすこともあります。その場合はページを改訂し、表示される改訂日を更新して、判断を変えた根拠を明記します。この区分は現時点の証拠状況を示すものであり、新しい証拠が見つかれば評価も変わります。
参考文献と出典
- 使徒言行録7~28章、『聖書 聖書協会共同訳』©2018日本聖書協会。引用本文には、本プロジェクトのCC BY 4.0ライセンスは適用されません。引用と利用の条件については、日本聖書協会の案内をご確認ください。 資料を見る
- ローマの信徒への手紙からフィレモンへの手紙まで、『聖書 聖書協会共同訳』©2018日本聖書協会。引用本文には、本プロジェクトのCC BY 4.0ライセンスは適用されません。引用と利用の条件については、日本聖書協会の案内をご確認ください。 資料を見る
- パウロの釈放、その後の旅行、死に関する後代の伝承は、使徒言行録の物語と区別している。
- Raymond E. Brown, An Introduction to the New Testament (Doubleday, 1997).